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第1回は、日本のドキュメンタリー映画『選挙』です。
この『選挙』という映画は、監督は想田和弘さんという日本人の方なんですが、すごく「日本人離れ」している作品だと思いました。 作品内容を簡単に言えば、
「東京で切手コイン商を営む山内和彦さんが、ひょんなことから自民党公認で市議会議員の補欠選挙に出馬することに。政治家の秘書経験もない山さんは、政治の素人。地盤どころか後援会すらないまま、激しい選挙戦に突入することになり…」
というその一連の選挙の様子を追ったドキュメンタリー映画です。
監督曰く「ドキュメンタリーも通常は終わりを決めて撮影、構成に合う映像を当てはめるが、何も考えずに撮った」。
展開される現実を撮り続けることで、先入観を捨てて、現実を観察し、そこから学ぶという監督自身のドキュメンタリーの根本姿勢が映画に表現されており、ナレーションもなければ、特殊効果や音楽さえもない。
NHKのドキュメンタリー番組を40本以上も演出したことがあるという監督だからこそできる、大胆な演出ではないでしょうか?
ここからは僕の個人的な感想。
この映画は、「一体何のために選挙に出馬しているのか」、国民のためなのか、自分のためなのか、家族のためなのか、それとも単に所属政党のためなのか…、そういった視点をぐるぐるぐるぐる回していく構成がとても巧みです。
(あえて「構成」という言葉を使います。)
また、日本の選挙制度の「おもしろい点」がハッキリと見てとれます。
映画の象徴的なワンシーンに、山さんがあるインタビュアーに「山内さんのマニュフェストはなんですか?」と尋ねられて、山さんが答えるのにどもってしまうシーンがあります。
つまり日本の選挙は、政策や理想ではなく、「顔」や「イメージ」を売る選挙なんですよね。
名前やイメージさえ上がれば、当選できる。
(実際に政治とはほど遠いような芸能人が当選している現状があるわけで。)
さて、この『選挙』は日本国内はもとより、国外での評価のほうが高いみたいです。
ベルリン映画祭を始め、世界で10以上の映画祭に招待されています。
それは、やはり日本の選挙は外国人から見れば、「特殊」なものに映るからであろうし、「おかしい」(というよりは「滑稽」という表現か?)からだと思います。
日本人にはおなじみの選挙風景も、外国人から観れば笑えるといういうのだから、色々考えさせられる所がありますよね。
海外の映画祭に引っ張りだこの映画『選挙』ですが、日本ではもうほとんど上映されていません。
現在北海道では我らが北大『CLARK THEATER』でしか上映されません。…たぶん。
この機会に是非『CLARK THEATER』で観てみてはいかがでしょうか?
選挙に対する日本人の「ステレオタイプ」をぶち壊してくれるようなこの作品。
「わかっている」はずのものの選挙や選挙運動が、これを観ることによって「あれ?」と思うと同時に、政治とは離れた全く他のものに変化して、笑いあり、涙ホロリ、怒りあり、のメロドラマを観ているような気分にさえしてくれる120分間です。
上映スケジュールは以下の通り。 ・10月27日 19:20~21:20
・10月28日 13:55~15:55
次回は『チルソクの夏』の紹介をしたいと思います。
「あぁ、ノスタルジー」って感じです。笑 PR |
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