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長編紹介第4回目です。・・・というより最終回ですね。
昨日のブログで黒沢清監督について語り過ぎて非難をウケたので今日は客観的に書きます。笑
今回はノルウェーのドキュメンタリー映画『歌え!フィッシャーマン』です。
あらすじはこんな感じ。
「人口1,200人の漁業の町ベルレヴォーグで、1917年に創設された男声合唱団。
様々な境遇の男たちが集まっているこの合唱団のメンバーは、96歳と87歳の兄弟"ストランド・ボーイズ"を中心とした30人。
彼らはカフェを経営し、定期的に開かれる歌のリハーサルを楽しみにしながら過ごす毎日。
そんなある日、合唱団はロシアの都市ムルマンスクのコンサートに招待されることになる。
コンサート会場は予想を上回って超満員。本番を前にして緊張するメンバー。緊張を解く間もないまま、いよいよ本番がやってきた・・・。」
この映画は「ドキュ・ミュージカル」なんて表現もされています。
2001年のシカゴ国際映画祭のドキュメンタリー部門 ゴールド・ヒューゴ(最優秀賞)や、2001年ノルウェー国際映画祭の年間最優秀映画部門&ドキュメンタリー映画部門 アマンダ賞(最優秀賞)を受賞するなど、多くの記録を残している作品です。
なんというか、観終わった後に温かい気持ちになれる映画です。 ノルウェーの美しい自然をバックに、平均年齢60歳という男声合唱段が勇壮に歌いまくる。
雪の降りしきる港から、廃墟となった工場から、猛吹雪の丘から…、とにかく様々な場所で歌います。そしてどんな場所でも彼らの声はしっかりと響き渡るんです。
ベルレヴォーグ男声合唱団はノルウェーの片田舎の合唱団。
創立は1917年というから90年近い歴史があるわけですね。最年長は96歳という人間的にも深い歴史を持った男たちの歌声は、ずしんと重厚で厳かな印象。そして彼らの後ろに広がる手つかずの自然の美しさ。
彼らにしてみればただ近所で歌っているだけなのかもしれませんが、日本人にとっては遥か遠くの異国です。オーロラや白夜をバックに歌うシーンなんて、夢の国の風景に思えるくらいです。
ノルウェーのロケーションは必見ですね。
特別に華があるわけではないし、淡々と映画は進みます。
(音楽を軸に、個々人をドキュメンタリー風に追っていく構成は『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』に似たものがあります。)
だけどじわじわ「くる」ものがある。
厳しい自然に耐えながら、歌を心の糧にする。本当の「豊かさ」とは何なのか考えさせられる感じです。
この映画では漁師だけではなく、役人も車椅子の人も更正した元麻薬中毒者も合唱団のメンバー。
みんな一緒なんです。
歌を唄う。生をまっとうする。ただそれだけだということに気づいているんですね、きっと。
個性的なおじいちゃんたちも見物です。 「昔は女を泣かしたもんだぜ」とかなんとか語るおじいちゃんのチャーミングさや、何気に社会主義派のおじいちゃんがスターリンを崇拝しているカットが印象的だったり。笑
最年長メンバー、ストランドボーイズ兄のナイスキャラも注目です。鼻水が凍って“つらら”になっても歌い続ける(!)描写があります。マンガかと思いましたね。笑
遠い異国の空気を存分に吸い込める映画『歌え!フィッシャーマン』。
必見です。
上映スケジュールは以下の通り。
・10月26日 14:35~16:20
・10月28日 9:30~11:15
次回は『活動弁士』さんについて語ります!
お楽しみに!
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