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どうも、ハヤタです。
長編紹介第2回目です。
 
 
今回は2003年公開の日本映画『チルソクの夏』です。
『半落ち』で2005年日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した、佐々部監督の初期の作品です。
 
ストーリーはこんな感じ。
「1977年7月7日。釜山で行なわれた下関と釜山水の親善陸上大会に親友の真里、巴、玲子と共に出場した高校2年生の郁子は、同じ種目の韓国人青年・安大豪と淡い恋をする。「来年の夏、この大会で再会しよう」。そして二人の文通が始まる。
携帯もメールもない時代。日本と韓国が現在ほど親しくなかった時代。障害を乗り越えて1年後の再会を夢見る2人・・・。」
 
もうこれ読んでるだけで胸キュンですよね。笑
ちなみにこの映画は「第22回日本映画復興激励賞、新藤兼人賞」「第44回日本映画監督協会 新人賞」を受賞しています。
 1597c599.jpg
 
 
 
 






下関と釜山での恋。日本人と韓国人の恋。
「そんなベタな設定はシェークスピアの頃からお決まりじゃん!」
と思ったあなた。
この映画を見くびらない方がいいですよ。笑

 
 
 
僕はこの映画を観て、「あぁ、“距離”の映画だなぁ」と思いました。
 
まずこの映画は主人公の郁子が20年以上前の青春時代を思い返すところから始まります。
まずここに「時間的な距離」があります。
この映画は人の記憶や思い出の世界を描いたものなんですね。その証拠にこの映画は細部はぼやけて、美しい部分がより美しく残っているようにも見える。そしてそのためにこの夢のような、その場その時の感覚の世界みたいな話は不自然さを残さないのではないでしょうか。一瞬一瞬の感覚がとてもキラキラしていて、その一瞬の羅列が思い出の中の一番鮮明な部分と呼応しているようにも見えます。
 
 
そして次に「物理的な距離」があります。
映画のワンシーンに、郁子が韓国のラジオ番組を聴いていて、一方釜山にいる安くんは日本のラジオ番組を聴いているシーンがあります。
日本と韓国は隣国であるし、しかもその中でも下関と釜山というのは極めて近距離に位置しています。
お互いの街のラジオ番組が聴こえるのに、でも1年に1度しか会えない。
会えそうで会えない…、近いようで遠い…、そんな距離感の表現がとても巧みだと思いました。
 
 
最後に「精神的な距離」があります。
日本と韓国というのは「一番近くて一番遠い国」とかなんとか言われます。やはりそこには複雑で、根深い歴史背景があるのですね。
実際にこの映画でも、郁子の周囲の人間は「なんで韓国人なんかと付き合っているんだ!」と声を荒げ、安くんの周囲でも「日本人と付き合うのはやめなさい!」と叱る描写があります。
日本と韓国という物理的な距離以上に、「日本人」と「韓国人」の間には精神的な距離、隔たりが存在するんですね…。悲しいことですがそれもまた事実なのでしょうか。
親の世代やその前の世代のわだかまりを否応無しに引き継がざるを得ない郁子と安くんの葛藤がまじまじと表現されています。
 
 
そんな3つの距離、「時間的な距離」「物理的な距離」「精神的な距離」の表現がこの映画はとても卓越していて、是非みんなに観てもらいたいと思い上映作品の1つに選定しました。
 
…まぁそんな難しいこと考えなくても、基本的には胸キュン映画だし、『耳をすませば』とか『小さな恋のメロディ』が大好物なあなたには絶対に満足してもらえるはずです。笑
 
 
 
 
映画のラストシーン。
「日本と韓国がこれからどのような間柄になっていって欲しいのか」
佐々部監督の希望・願いを垣間見られたような気がして、とてもすがすがしい気持ちになれました。
 
必見です。
 
 
上映スケジュールは以下の通り。
・10月26日 12:10~14:05
・10月27日 16:20~18:15
 
 
次回は黒沢清監督の『アカルイミライ』です。
今回よりも熱く語りますよ。笑
 
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